不動産を相続したときに必要な手続きについてご案内しています。
「手続きをしないとどうなるの?」「まず何をしたらいいの?」
そんなお悩みを解決するために、分かりやすくかんたんにまとめました。
不動産を相続したら、まずはこの「不動産相続手続きガイド」をお役立てください。
不動産の相続手続きとは、登記簿上の不動産の権利者を、亡くなった方から相続する人に名義変更する「相続登記」をすることです。相続人ご本人の不動産であるという権利を明確にするために、相続登記をしましょう。
相続手続きの放置が原因で、所有者不明の土地が増加し、社会問題となっています。
相続発生から3年以内に手続きをしないと10万円以下の過料が科される場合があります。
登記名義人が故人のままでは取引(売買・賃借・解体 等)をすることができません。いざ不動産を活用しようと思っても、相続登記には少なくとも1〜2ヶ月の時間がかかるため、早めにすませておきましょう。
時間が経つほど、相続人が認知症や亡くなる可能性が高まります。遺産整理の話し合いが完了する前に相続人が亡くなると、さらに次の相続が始まってしまいます。関係者が増え、話し合いや手続きが複雑化します。
ご自分でやることも可能ですが、戸籍類の収集に手間がかかったり、難しい申請書の作成が必要です。
全般的に任せられる専門家に依頼もできますし、最近ではインターネットサービスを利用する方法もあります。
下の手続きガイドを
参考にやってみましょう!
相続登記の手続きは、名義変更に必要な書類一式を収集・作成し、法務局に提出することで完了します。
このガイドでは、一般的な手続きの流れを、6つの手順にわけて解説していきます。
※もし相続放棄をする場合は相続開始から3ヶ月以内、相続税の申告が必要な場合は10ヶ月以内にそれぞれ別途手続きが必要です。
手順
1
対応目安時期
できるだけすみやかに
遺言書がある場合は、原則としてその内容に従って手続きを行います。遺言書があるかどうか、ある場合は遺言書がどの種類に該当するか確認しましょう。
遺言書あり
遺言書なし
遺言書なし
検認とは…遺言の存在を相続人に知らせるとともに、状態や内容を明確にし、偽造や改変を防止するための手続き
相続人および利害関係者の全員が承諾すれば、遺言書とは異なる遺産の分け方をすることも可能です。
手順
2
遺言書あり
遺言書なし
対応目安時期
できるだけすみやかに~命日から2ヶ月以内
法定相続人とは「民法で定められた、被相続人の財産を相続する権利を持つ人」のことです。
法定相続人を明らかにするためには、まずは被相続人の戸籍を集める必要がありますが、時間がかかるので早めに取り掛かりましょう。
すべて集めたら戸籍を読み解き、載っている人たちの中から法定相続人を特定しましょう。
被相続人の死亡事項のある戸籍(除籍)謄本から、出生まですべての戸籍謄本を取得します。まずは死亡した市区町村役場で取得できるすべての戸籍謄本を取得しましょう。戸籍謄本から、戸籍が作られた理由と日付、その前の戸籍がある市区町村をたどって順に取得していきます。
取得場所 | 本籍がある/あった市区町村役場 (窓口もしくは郵送にて取得可能) お近くの窓口 |
必要なもの | 申請書、本人確認書類、関係証明書類(申請者の戸籍等) (郵送の場合)定額小為替と返信用封筒 (代理の場合)委任状 |
費用 | 戸籍謄本:450円/1通、除籍謄本・改製原戸籍謄本:750円/1通 |
・必ずなる…配偶者 :いる場合は必ず相続人になる
・第一順位…子 :いる場合は必ず相続人になる
・第二順位…親 :子がいない場合は相続人になる
・第三順位…兄弟姉妹 :子も親もいない場合は相続人になる
※相続人に該当する人がすでに死亡している場合は代襲相続が発生します。
家系図を書くと法定相続人の特定がしやすくなります。図にして整理してみましょう。
手順
3
遺言書あり
遺言書なし
対応目安時期
できるだけすみやかに~命日から2ヶ月以内
被相続人が保有していた不動産を明らかにします。まずはご自宅などにある書類を手がかりに、追加で役所から権利書類を取り寄せて確認しましょう。
取得場所 | 最寄りの法務局(窓口もしくは郵送にて取得可能)
お近くの窓口 |
必要なもの | 申請書(窓口もしくはサイトからダウンロード) |
費用 | 600円/1通 |
取得場所 | 市区町村役場 (窓口もしくは郵送にて取得可能)
お近くの窓口 |
必要なもの | 申請書(窓口もしくはサイトからダウンロード) 本人確認書類、関係証明書類(戸籍等) |
費用 | 義務者1人につき200円とコピー代(片面10円・両面20円×枚数) |
もし未登記の不動産が見つかった場合は、新たに建物の所在や所有者を登記(表題登記)しておきましょう。
手順
4
遺言書あり
遺言書なし
対応目安時期
命日から3ヶ月以内
法定相続人全員で遺産の分割方法を決めます。決まった内容をもとに、一般的なひな形に沿って遺産分割協議書を作成しましょう。 不動産の相続登記専用に、不動産情報のみの遺産分割協議書を作成することも可能です。
記載する情報 | ・被相続人、法定相続人の情報 ・財産の情報、財産の分割方法 ・法定相続人全員の押印(実印) |
添付書類 | ・相続人全員の印鑑証明書 |
相続を放棄する場合は、相続の開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述します。
手順
5
遺言書あり
遺言書なし
対応目安時期
命日から8ヶ月以内
相続登記のための登記申請書を作成し、必要な書類を揃えましょう。
遺言書 | 書類 | 手続き | 参考 |
あり なし |
登記申請書 | 自身で作成 |
法務局サイトからひな形をダウンロード
|
あり なし |
被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本 | 本籍のあった市区町村役場 | 手順2を確認 |
あり なし |
被相続人の出生以降の除籍・原戸籍謄本 | 本籍のあった市区町村役場 | 手順2を確認 |
あり なし |
被相続人の住民票の除票 | 最後の住所地の市区町村役場 | |
あり なし |
相続人全員の戸籍謄本(抄本) | 本籍地の市区町村役場 | |
あり なし |
不動産を相続する人の住民票の写し | 住所地の市区町村役場 | |
あり なし |
固定資産評価証明書 | 不動産が所在する市区町村役場 | |
あり なし |
相続関係説明図 | 自身で作成 | 登記申請書の様式内の記載例を参考 |
あり なし |
遺言書 | 公証役場または法務局、自宅等 | 手順1を確認 |
あり なし |
遺産分割協議書 | 自身で作成 | 手順4を確認 |
あり なし |
相続人全員の印鑑証明書 | 住所地の市区町村役場、コンビニ (マイナンバーカードがある場合) |
手順4を確認 |
あり なし |
登録免許税額の収入印紙 | 郵便局、法務局など | 下の解説をもとに計算 |
手順
6
遺言書あり
遺言書なし
対応目安時期
命日から9ヶ月以内
登記申請書類一式を法務局に提出します。
戸籍謄本等は別の相続手続きでも使用できるので、原本還付をするようにしましょう。1〜2週間ほどで「登記識別情報通知」が届いたら、手続きは完了です。
提出場所 | 不動産を管轄する法務局
お近くの窓口 |
提出方法 | 窓口、郵送、オンライン 慣れていない場合は窓口に提出することをおすすめします。軽微な不備であればその場で指摘してもらい、修正できる可能性があるためです。 |